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最高裁の誤りとスクランブル

最高裁判所の 受信契約締結承諾等請求事件 平成26(オ)1130の判決には 多くの誤りがあるのですが、その中でも最も致命的なのは、この部分です。

  判決    18頁25行  放送法64条1項は,原告の放送を受信しない者ないし受信したくない者に対しても受信契約の締結及び 受信料の支払を強制するものと解される

すなわち、「受信契約はテレビを持っているだけで強制される契約」だと言っているのですが、これは有り得ないのです。

ちなみに、放送法を作った方々は、この件についてこのように述べています。

「」の中がご本人のお言葉です。

 吉國一郎氏 立法担当  「放送用の受信機を設置した者は当然に受信料の債務を法律上負担するということも,なかなか難しいだろうと思います。」

 荘宏氏   立法担当  「契約をするかしないかの個人の自由を完全に抹殺する規定を法律で書き得るかについては大きな疑問がある」

 松田英一氏 立案担当   罰則を付けると「相当問題になる」から「ある程度契約強制みたいなかたち」にした。


立法,立案には携わっていませんが有名どころの方も受信料のことを。

 田中角栄氏 国務大臣  「この法律におきましては契約によって支払わるべき対価としてあります。」

放送法の契約義務の考え方は、放送法施行当時から現在まで変わっていないのに変ですね?

放送法の趣旨

●放送法

第六十四条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

もしNHK放送が受信できないテレビがあれば契約対象外だという事には誰も異論がないはずです。

だからこそ、イラネッチケー裁判があって、「本当に受信できない?」という議論があったのです。


ここを良く考えてみてください。

もし「NHK放送が受信できないテレビがあれば、それは契約も受信料もいらない」という事は明記されているのです。

これは、「本当に民放だけを受信するなら契約も受信料もいらない」という事なのです。

すなわち、受信契約は民放受信とは全く無関係だと宣言されているのであり、法(条項)の趣旨として、 民放だけを受信するなら契約不要という方向で考えられていた事は疑いようのない事実なのです

最高裁の判決では、この趣旨を考慮もせず、たしかに最終目的となる受信料の徴収についてだけを見て判断したから犯した過ちなのです。

木を見て森を見ずとは、まさにこの事です。

この趣旨が理解できていれば、「受信料は国際放送にも使われるのだからNHKを受信するしないは関係ないはずなのに、 なぜ放送法は民放だけを受信するなら契約不要としたのだろう」と疑問を持ち、立法担当者の言葉を探したかもしれません。

そうすれば、「なんだ受信料を国際放送に使う方が間違いだったんだ」と気付いたかもしれません。 そもそも交付金(税金)とのハイブリッドという方がおかしいのですから。

スクランブル

これは受信契約が強制契約であるという間違った前提を強引に通した場合のスクランブルとの関係です

現在の放送法ではNHK放送をスクランブル化できません。

第147条によりスクランブル化すれば「有料放送」となってしまいますが、役務の提供を拒んではならない(64条「契約しなければならない」) NHK放送に求められる性質と、理由があれば拒んで構わないとする第148条は両立しない(不合理なだけで絶対両立しない訳ではないが 放送法がそれを想定していない事は明らか)というような問題があるためです。

これは、第147条にたった一言、「NHKを除く」と入れれば解決しそうな問題です。


また、スクランブル化できない理由を、「災害時に被災地で最も機動性の高いNHKが見れないと困る」というような事を言う方もいるようですが これは全くの勘違いです。

そもそも、視聴とは無関係であると主張する受信契約に、都合のいいときだけ視聴を条件にするのは間違いだということと、 被災地で、その契約した対象の受信設備が使えるという可能性は少なく、他人の受信設備にて見ることになるので契約は無関係だということです。

勿論、災害時にはNHKを見るなどという決めつけも憲法違反ですから前提には置けません。

それに、現在のスクランブルなら、そんなときだけは解除するという事も可能なはずで、こういう対応こそ税金で賄うのが妥当ですから、 このような備えのために契約する必要性なんて微塵もないのです。


放送法施行当時は、まだ現在のようなスクランブルなんて有りませんでしたし、高価でお金持ちの象徴だったような受信機に余計な機能を付け、 より高額商品にしたため、放送普及の妨げになるようなことはできなかった時代です。

現在は放送法が目的とした「放送の普及」(=放送区域の拡大)については完了したと言っていい状況ですし、スクランブル化で受信機の値段が変わることもありません。

もうスクランブル化を阻害する一切の理由はなくなりました。これを止めているのは立法,行政の怠慢であり、 まずは放送法にてNHKのスクランブル化を可能な状態にまではするべきですし、迅速にNHKにもスクランブル化の準備をさせるべきなのです。

放送法第64条はNHK放送が受信できないテレビが有れば対象外だとしています。

存在しない(と考えられる)ものを条件とするはずが無いので、放送法第64条はNHK放送を受信できる受信設備と民放だけを受信できる受信設備の両方が存在し、 それを選択できる前提に置かれています。

現在は、その前提が崩れており放送法第64条の趣旨が生かされていないとするならば、その趣旨に沿った国民生活ができるようにしなければならないことからも、 スクランブル化は急務であり、実施すれば余計な裁判も無くなるはずであるため、これをやらない事こそ公共の福祉に反しているのですから、 書いてある事が間違っていたという事ではなく不利益な状態のまま残されていることにより、放送法第147条や64条は憲法違反になってしまうのではないでしょうか。

*実際のところは、受信契約は任意契約ですから スクランブル化により任意契約だという事が分かりやすくなるという効果しかありません。

しかし、分かりやすく正しい受信契約となるためには必要だと思います。


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