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法律や日本語を知らない裁判官

地裁の裁判官は法律どころか日本語さえ知らないらしい。

ここでは平成28年7月のイラネッチケー裁判の判決についての致命的な問題点をご紹介します。

予めお断りしておきますが、裁判官も人の子。得意,不得意があるようですし、三審制という制度は、裁判にも間違いがあることが前提のものなので、一人の裁判官を責める意図はありません。

どうやら法律家になるのに、放送法,電波法,電気通信事業法等の通信に関わる法律はあまり勉強していないという現実を指摘するためのものであり、前世紀は契約義務の無かった有線放送受信設備の設置者にまで契約させた裁判もあるくらいなので、かなり多くの裁判官がかかえる問題のはずです。

 これくらいのことは知っていてほしいものです。


図をクリックすると説明のページを表示します

日本語として成立していない判決

デジタル放送対応テレビが設置されている外形的事実に変わりはなく、復元工事を依頼するなどして本件フィルターを取り外せば本件受信機でNHKの放送を視聴することができるのであるから、現にNHKの放送を視聴できない状態にあるとしても、これをもって、被告が受信機を廃止すること等により、放送受信契約を要しないこととなった。ということはできない。

これは判決文の一部なのですが致命的な矛盾があることに気が付かないでしょうか?

これは法律以前に日本語の矛盾です。

この裁判官は「廃止」は解約要件を満たすと言っています。

「廃止」とは、「止めて行わないこと」であり、人の意思のみで成立し外形的な変化を求めません。

これは単純に国語レベルの話です。

例えば、A,B2つの路線を持つ鉄道会社が、Bは儲からないからと廃止を決めた場合、たとえ線路などを撤去せずとも(設備状況の変化がない)、実際の運用停止をもって廃止は成立します。

逆に、仮に線路を撤去したという外形的な変化があったとしても、それが修繕等による一時的なもの(廃止でない)なのか、恒久的(廃止)なのかは、外形的変化だけでは判断できないものです。

あくまで「廃止」とは人の意思決定により成立するものです。

それなのに、「外形的事実」,「復元工事」だとか言うのは構いませんが、人の意思との関連性を何も説明していないところに問題があります。

というか、「廃止」という言葉の意味を取り違えているとしか解釈できない内容になっています。


この裁判官は「廃止」を認めている以上、これは最終的に、

NHK放送を映らなくするための機械を壁に埋め込んだくらいでは、NHK放送を受信する意思が無いとは言えない。

と言っているのです。無茶苦茶ですね。人に意思についてのことなのに、あまりに横暴な判断と思えるのは私だけなのでしょうか?

過去の判例で「簡単に戻せるものは認めない」のようなものはありましたが、ある意味それも否定する判決だという事が分かっているのでしょうか?

しかし、私の予想としては、この裁判官は日本語も知らないほど馬鹿なのではなく、ある類似の現実のルールの意味を取り違え、勘違いにより結果的に日本語として崩壊してしまったのではないかと思います。

その現実のルールとは、不法(無免許)無線局の取り締まりです。
(ちなみに「違法無線局」は、無線局免許があって法律を守った運用をしていない無線局ですから、取締り基準は異なりますので調べる際はご注意ください。)

不法無線局の検挙基準は、電波がすぐに出せる状態の送信設備を持っているだけで送信可能とみなされ、無線局免許を受けていない場合に、ほぼ成立します。

ようするに、外形的事実で決まってしまうということです。

送信設備は、テレビ等を中心とした受信設備に対応するものなので、送信側が送信設備の外形的事実で決まるのなら、受信側だって受信設備の外形的事実で決まると考えるのは自然な流れと言えます。


しかし、これは間違っています。

送信側が送信設備の外形的事実でほぼ決まるのは、電波がすぐに出せる状態の送信設備を持っていれば、「送信の意思がある」とみなされるからであり、外形的事実は直接の理由ではありません。

これは、刑事裁判で故意が有ったか無かったを争うのと同じようなもので、送信設備の外形的事実は証拠能力を持つというだけのものです。

もし、電波がすぐに出せる状態の送信設備を持っていても「送信の意思がない」ということが証明できるか、第三者(裁判官)が納得するなら無罪となりますが、ほぼ有り得ないケースだけに外形的事実で決まってしまいますが、あくまで争点は「意思」なのです。

しかし、放送受信設備の場合は、現実として人がNHK放送を受信する意思が無いとしても、テレビにはNHK放送を受信する機能が付いてしまっています。

この状況では、たとえテレビでNHK放送が受信できてしまったとしても、それをもって「NHK放送を受信する意思が有る」とは言えない状況なのです。

もし、現実の選択肢としてNHK放送受信機能の有無を選べるとしたら、NHK放送が受信できるという外形的事実は証拠能力を持つ可能性が極めて高いと言えますが、現状は選択の余地がないだけに意思との関連付けはできません。

結局この裁判官は通信に関わる法律の知識が乏しく、電気通信の成立は人の意思で決まるという事すら知らなかったため、上っ面の「外形的事実」しか見えなくなってしまったものだと思います。

放送法でも第2条一で、「放送とは、公衆によつて直接受信される」、すなわち「放送は人が受信するものだ」と書かれていることも知らなかったのでしょう。(これを知らない人は沢山います。圧倒的多数じゃないですかね。)

そもそも第2条二十八で定義される「放送番組」との違いも分かっていないことは明白な判決になっています。「放送」と「放送番組」の定義が異なっており、法律通りの言葉になっていないのが分かる人には分かると思います。

法律が分かっていない!? 判決中のキーワード

これらすべて、法律的に間違った表現(言葉)です。

1.放送を視聴する

2.受信機を廃止/テレビが設置されている

3.受信設備で受信することのできる放送

4.受信設備の設置という外形的事実を基準

5.本件解約届けにより解約されることはなく


1.放送を視聴する

不可能です。放送法第2条一,二十八を読んでください。

視聴できるのは放送番組であり放送は受信するものです。

更に詳しく言えば、放送とは電気通信事業法で定める電気通信の送信ですから、受信者(事業者)と視聴者(顧客)は異なる人だという概念になっています。

この区別が付いていれば、法律家として絶対言ってはならない言葉です。


2.受信機を廃止/テレビが設置されている

放送法第64条には受信機を示す用語は出てきません

法律上「受信機(テレビ)」と「受信設備」は異なるものであり、受信契約義務の判断基準は「受信設備」です。

放送受信規約は、これを悪意を持って同じものとして使用することを先頭で宣言していますが、これは放送受信規約内に限定された特殊なものであり、法律に基づいて言い渡す判決で、具体的な説明もなく用いるべき言葉ではありません。

基本的に放送受信契約を語る際に、「受信機(テレビ)」という言葉を使う人は、ほぼ例外なく「受信設備」と「受信機」の決定的な差(下4.)について分かっていません。


3.受信設備で受信することのできる放送

こんな放送は存在しません。

受信設備で受信できるのは、「電波」か「電気信号」だけです。

放送法第二条一で放送は人が受信するものだと定義されています。


4.受信設備の設置という外形的事実を基準

受信機と受信設備の違いが分かっていないために混同しています。

受信機の設置とは、受信機にアンテナや電源などを接続し、すぐに使用できる状態にすること(この状態が受信設備)なので、外形的事実を基準にすることもあるでしょう。

受信設備の設置とは、電気通信に対する責任者を立て、受信設備に操作員を配置し運用可能状態にすることであり外形的事実を基準にすることはできません。

これは、電気通信事業法における定義です。(放送とは電気通信事業法で定める電気通信の送信です)


5.本件解約届けにより解約されることはなく

これは、厳密な説明を端折っただけだと思いますが、受信契約の解約は民法第540条によるものなので、正しい内容で書かれた解約届けがNHKに到着した時点で解約は成立します。

この裁判では解約要件を満たしていないと判断したため、「解約届けを無効とし、受信契約は続行されているとみなす」というのが正確な内容です。

放送法第64条の、「契約をしなければならない」(申し出を断ってはならない)という言葉で、契約締結に関しNHKの意思は認められていません。(「契約」でなく「申込」をならNHKの意思も認められる)

原則として契約拒否権のない(契約相手が「公衆」となる条件です。相手を選んではなりません)電気通信事業関連すべてを見ても非常に珍しいケースでしょう。

通常は、放送法第148条のように、事業者側の特別な理由くらいは認めて契約拒否権を与えているのが普通なのですが、受信契約には一切の契約拒否権を与えていません。

すなわち、解約の要求にも拒否権はありません


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